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「ダメなの? オシリス。彼女、とても、よく似てると思うけど。塩基配列の予測復旧率は99・6パーセントよ」
99・6ーーそう。外見上は、ほぼ違いはない。
あの人より少し鼻が高すぎ、ほんの少し指が短い。
でも、そんなことが問題ではないのだ。
わずか0・4パーセントの差異が、こんなにも決定的な違いとなるのだろうか。
この人と私の波長は、あわない。
二つに割った一枚の絵皿のように。
どんな細部の心のひだまで、ぴたりとあった、あの人の波長とは似ても似つかない。
「この人は、イシスではないよ」
周囲で、ため息が嵐のように起こった。
彼らが、私の悲しみをいやすために、精いっぱいの努力をしてくれているのは、わかっている。
けれど、こればかりは気持ちをごまかすことはできない。
やはり、不可能なのだ。
失われた遺伝子情報のデータを一から組みなおすことなど。
前回は99.18パーセント。
その前は奇跡的に、99.67パーセントまで回復できた。
しかし、99・99999%同一の遺伝子を持つ一卵性双生児でさえ、その指紋は異なる。
ましてや、彼女の差異は0・4%だ。この違いは大きい。
再生させた仕上がりは、とても満足できるものではなかった。
何かが違う。
口では説明することのできない何かが。
しいて言うなら、魂の不在。
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