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「師匠はね──」
楽しそうに話し始めたクレーネーと彼らの会話に耳を傾けた。
「──え、じゃあ、お師匠さんはあの“雪妖精”さんなのかい!?」
「う、うん」
初老の男はクレーネーに訊ね、目を見開いた。若い男と中年の女性は目を合わせて複雑そうな顔をした。
「師匠がどうかしたの……?」
おずおずと聞いたクレーネーに、三人は気まずそうに視線で会話をし合う。おそらくリューティスの『偽者』の存在を知っているがゆえの反応だろう。
ちらちらとこちらに向けられる三人の視線。リューティスはフードを下ろして小さく息を吐き出した。
「……『偽者』の件はすでに兵士の方から伺っております」
「つまり、あなたは本物だと?」
初老の男からの疑いの視線に、リューティスは無言で“ボックス”を開き、ギルドカードを取り出して、初老の男に手渡した。
「“月の光”所属、AAランクのリューティス・イヴァンスです。……呼び名に関しては、気がついたらつけられておりましたので、真偽について申し上げることはできませんが」
三人はギルドカードを覗き込み、まじまじとそれを見つめていた。
「師匠、偽者って?」
「……“雪妖精”を名乗る方が現れたそうです」
「へ?」
「僕といたしましては、そのまま呼び名を差し上げたいところです」
「な、なんで……?」
リューティスは無言でクレーネーから視線をそらした。
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