40人が本棚に入れています
本棚に追加
「まだ、コトハの体は変化の途中なんだよ。なのに、何故か途中で目覚めてしまった。通常は、一度眠りに就くと変化が終わるまで、眠りからは覚めないものなんだ」
ーー終わった訳ではないの?
「終わってはいないね。今の君は、微かに妖気を身に纏った・・・それでも普通の猫だよ。決して妖ではない」
ーー妖ではない。・・・じゃあ、変化が終わったら猫じゃなくなるの?狐になるの?
コトハは自分が狐になった姿を想像したが、そもそも生きている狐に遭遇したことがない。稲荷神社にある石像を思い浮かべ、ブルブルと頭を振った。
「いや、本質は変わらない。コトハは猫のまま妖になるんだよ。・・・本来ならば、血が少し入っただけでは妖になることはない。多少の影響があるにしてもね。でも、コトハの体が余りにも小さ過ぎたことと、思った以上に私とコトハの相性が良かった為に、コトハの妖化が始まってしまったんだ」
ーーじゃあ・・・猫又になるの?
キョトンと首を傾げれば、浅葱が頷いた。
「そうなるね。ただ、コトハの体に入っているのは妖狐の血だ。その血がどれだけコトハに影響を及ぼすかまでは、妖になってみないと分からない。ーーコトハ、私を恨むかい?」
浅葱のコトハを見つめる目が揺らいだ。コトハは言葉の真意が分からず首を傾げる。
そういえば、さっきも、似たようなことを言っていた。
最初のコメントを投稿しよう!