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ブルッと震え、耳を倒すコトハに「コトハ?」と柔らかな声音が呼び掛けた。 「どうしたんだい?」 コトハは不安に揺れる瞳を上げ、浅葱を見た。 「コトハ、不安に思っていることは、ちゃんと言葉にするんだよ?質問には全て答える。・・・何が君をそんなに不安にさせているのか、話してごらん?」 その言葉を受けて、一瞬躊躇するように瞳を揺らした。でも包み込むような優しい眼差しを受け、意を決したように話し出した。 ーー眠りから覚めた後は・・・私はぼっちになるの?。・・・仮に、100年後の世界に目覚めたとして、浅葱も十六夜も側に居てくれるの? 耳をピタンと閉じて、尻尾を縮こめる。ガタガタと震えるのは寂しいから。せっかく逢えた優しい人達との別れが悲しいから。 優しい手がコトハに伸び、ふわりと抱き上げる。抱き締められるその温もりに、離れるのは嫌だとばかりにコトハは爪を立ててしがみ付いた。 そんなコトハを宥めるように、浅葱がペロペロと耳を舐める。顔を上げると鼻先を舐められた。コトハも応えるように舌を出して舐め返した。 「不安がることはない」 コトハの小さな額に、コツンと浅葱の額が当たる。あのお星様が煌めく黒い瞳が、コトハの琥珀色の瞳を見つめ返した。 「私も十六夜も人ではない。何年だって、何百年だって、生きてコトハが目覚めるのを待っているよ。そうして目覚めた後は、皆んなで仲良く暮らそう。だから、安心おし。必ず待っているから」 浅葱の言葉にコトハは嬉しげに「にゃあ」と鳴いた。
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