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「何が嫌いじゃないんですか?」 「お前の毒舌っぷりだ」 「マゾですか?虐められて喜ぶ気質でも持っていらっしゃるんですか?」 「んな訳ねぇだろう。どちらかと言えば追い詰める方が好きだからな。狩猟本能って奴だな」 「・・・何の話かも、既に分からなくなって来ましたね」 途方に暮れたように呟けば「狩りの仕方じゃねぇのか?」と、ふざけた応えが返ってきた。 「絶対違います」 そこは強く否定した。十六夜は目眩を感じて頭を押さえる。 「どうした、疲れたか?」 気遣う声に目を向ける。 「頭が痛くなってきました」 あんたのせいで、その言葉は飲み込んだ。 「大丈夫か?」 心配そうに見つめる高宮に怒りが沸き起こる。 「少し休め。浅葱達が出て来るまで、まだ時間もあるだろうしな」 「・・・・」 十六夜は、黙ったまま、じとりと高宮を睨み付ける。 「おっ、何だ何だ?誘ってんのか?よし、分かった。俺の胸に飛び込んで来い。優しく癒してやる」 大きく手を広げる高宮に、盛大な溜め息を吐き出した。心底嫌そうな顔を向ける。 「・・・めんどくさいので勘弁して下さい。これ以上ここに居ると、高宮様の首を絞めてしまいそうなので、自室にて休ませて頂きます」 「・・・何だ照れ隠しか」 「照れてねぇよ!・・・・・・失礼します」 十六夜はフラフラと立ち上がり、部屋を後にした。障子を閉めた途端、豪快な笑い声が聞こえて来たが、立ち向かう元気も気力も最早ない。 そのまま無視してその場を離れた。 (出来るなら、もう2度と関わり会いたくない) 叶わないであろう思いを心の中で願いながら。
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