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「元々犬と猫は相容れない。況してや狼なんて、恐怖を煽られるだけの存在じゃないか?・・・そりゃ嫌がられるだろ」
「俺は仲良くなりたいんだよ」
「なら、焦らず気長にやるんだな」
「・・・1番苦手だ」
苦渋な表情で呟く高宮に「だろうね」と頷いた。
浅葱は、コトハの口元を哺乳瓶の先でちょんと突いてやる。するとコトハは口を開け、カプと咥えゴクゴクと勢い良く飲み始める。
「でも、嫌われたくはないのだろ?」
「もちろん」
力強く頷く高宮に「なら、コトハのペースに合わせて気長に頑張れ」と告げる。
「・・・・・・分かった」
高宮は焦れるようにコトハを見つめながら頷いた。
「それで、話は戻すが」
「何だ?」
眉間にシワを寄せる高宮に苦笑を浮かべる。
「・・・十六夜のことだよ」
「くれるのか?」
「条件を満たせば、考えなくもない」
「・・・条件?」
「簡単だよ。十六夜の口から私に、高宮に惚れた。一緒に居たいと言わせればいい。そうすれば、十六夜の意思を尊重して、高宮の元へやる」
「おう」
「口説くのは自由だよ。ただ、コトハの目の前では絶対にしないこと。教育上、良くないから。・・・守れない場合は出禁だ」
「出禁・・・厳しくないか?」
「守ればいいだけの話だろ?」
「ま、まぁな」
「出来ないなら、この話はナシだ」
「い、いや、出来る。出来るとも」
「そうか。・・・まぁ、頑張れよ?」
「お、おう」
自信なさ気な高宮をチラリと見た後、話は終わりとばかりにコトハへと目を向けた。
浅葱の脳裏を十六夜の怒った顔が過ぎったが、何とかなるだろと、すぐさま彼方へと押しやった。
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