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「まぁ、気長にな」 高宮は浅葱の言葉に不貞腐れた顔で頷く。言いたいことは分かっていた。理由だって理解しているつもりだ。 『コトハのペースで徐々に慣らして行く』その言葉を頭の中で何度も繰り返した。高宮もなんとか焦る気持ちを宥めようと必死なのだ。 しかし、今の状況を見てみろと言いたい。突破口を見つけられないままの高宮の心境は、正に五里霧中。藁にもすがる思いだ。 「・・・どうして変化しないのかな」 浅葱が唐突に呟いて話題を変えた。高宮は一瞬ムッとした顔をしたが、その内容に目を瞬いた。 「・・・そろそろなのか?」 「・・・流れている妖力がかなり強いから、変化出来る力はあるはずなんだ」 「・・・ふーん?」 高宮は、目を眇めコトハを見た。頭の先から尻尾の先まで探るように見つめる。 ーー成る程。浅葱の言ったようにコトハからは並々ならない妖力の流れを感じ取ることが出来る。 それは浅葱の用意する『ミルク』によって高められ、その小さな体から溢れんばかりになっていた。 「確かに・・・人型を取っててもおかしくないな」 「ああ」 「・・・変化の仕方が分からないとか?」 高宮の言葉に浅葱は「んー」と唸った。 「そうだとしても、口で教えられるものではないからね」 「まぁな」 変化の仕方は自然に身に付けるもの。食べたり飲んだりを教えられることなく出来るように、遺伝子レベルで組み込まれている。 口でどうこうと教えるものではない。
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