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遊び疲れたコトハが浅葱の膝の上で目を閉じる。頭を撫でてやると、ペロリと指を舐められた。ふるふると頭を軽く振り、顔を擦り寄せる。 ふわぁと一つ大きく欠伸をすると、そのまま寝息を立て始めた。コトハの安心しきった穏やかな寝顔が、浅葱の心を暖め和ませていく。 「可愛いねー」 起こさぬようにそっと耳の後ろを指で梳いてやる。ピクリと耳を動かすも、眠りは深いようだ。 「主様」 開け放たれた障子の向こうに十六夜が顔を出した。 「帰ったか」 「はい」 睡眠療法の成果もなく、コトハに邪険に扱われ今日も高宮は肩を落として帰って行った。 「・・・どうしたものかねぇ」 浅葱は憂いたように呟く。 「放っておけば良いのです」 強い口調で突き放す十六夜を、おやと眉を顰めて見た。かなり同情的な眼差しをしていたはずの十六夜の変化を訝るも、今の短い間に高宮が何かやらかしたのだと思い至り苦笑を零す。 「口説かれたのかい?」 浅葱の問いに、十六夜の眉間に深くシワが寄った。 「・・・口説く?・・・違います。あれは揶揄われたんです。面白がってふざけているだけです」 不機嫌を隠しもしない。浅葱は困ったものだと小さく息を吐いた。 「・・・十六夜、高宮はモテないんだよ」 「・・・はっ?」 浅葱の唐突とも言える言葉に十六夜は目を丸くした。 「高宮はね、モテないんだよ」 「・・・そう、ですか?」 どう反応すればいいのか分からない顔で、十六夜が曖昧な返事を返した。
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