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「コトハ、高宮だ。今日は贈り物を持って来たんだ。コトハが人型になった時に着る服と、猫じゃらしだ。・・・好きだろ?これで一緒に遊ぼう」 やっぱり仲良くなるには一緒に遊ばなきゃなと、眠るコトハへと話しかけ、高宮は猫じゃらしを揺らした。これに戯れ付いて遊ぶ姿を想像するだけで口元が自然と緩んだ。 「欲しい物は何だって買ってやるぞ。我が儘だって聞き放題だ。とことん甘やかしてやるから俺と仲良くしろ。・・・いや、してくれ・・・して下さい。この通りだ。頼む」 犬神の威厳も男としての矜持もかなぐり捨てて高宮は深々と頭を下げた。その直後、呆れたような溜め息が耳に届き、ビクリと肩を震わせた。 「どこのエロジジイが居るのかと思えば高宮か」 「・・・エロジジイってなんだ」 「貢物を持って来て、我が儘は何でも叶えて甘やかしてやるとか、お前の言ってる内容全てがエロジジイなんだよ。若い女に入れあげるオヤジにしか見えないね」 高宮はその言い草に腹が立った。 「俺は真剣だ」 「たがらなんだ」 だからって、分かってる癖に聞くんじゃねぇと怒鳴ろうとした声は「みゃあ」と鳴く声に遮られた。 「おっ、目が覚めたのか?」 高宮はコトハへと視線を移し、手に持つ猫じゃらしを揺らした。 コトハはピクとヒゲを震わせた。琥珀色に煌めく瞳を細め、ゆらゆらと揺れる猫じゃらしに据える。動く方向へ顔を振り態勢を低くする。尻尾をピンと立て臨戦態勢を取ると、直ぐさま飛びかかって行った。
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