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十六夜に手当てを受けたあと、高宮はコトハへと躙り寄り、何とか一緒に遊ぼうとあの手この手で頑張った。 狐に変化した浅葱を見て、天啓を受けたような顔をした高宮は狼に変化した。しかし、そんな高宮に対しコトハは引っ掻き、噛み付きはもちろんのこと、まるで親の仇のように向かって行った。 高宮は実際の痛手より、精神的なダメージの方を多く喰らったらしい。 絶望的な顔をしてヨロヨロと帰っていった。 『コトハ、余り高宮を虐めないでやっておくれ。ちょっと鬱陶しい所もあるが、根はいい奴なんだ。・・・それに、コトハの目覚めをもの凄く楽しみにしていたんだよ。高宮がコトハを大事にしようとしているのは、コトハにも分かるだろう?』 遊ぶのを止めて、コトハは浅葱をジッと見つめたまま聞いていた。 「みゃあ」 『・・・コトハ、人の言葉は喋れる?』 「みゃあ」 『コトハとお話がしたいな』 「みゃあ」 コトハは、浅葱の前まで来るとちょこんと座った。 『私の名前は覚えてるかな?』 ーーあちゃぎ 浅葱は人型に戻ると、コトハの頭を撫でた。 「よく出来ました」 得意気な顔をするコトハに続けて尋ねた。 「コトハは、人型にならないの?」 変化の時期は過ぎているのに、いつまで経っても人型にならない。 それはもうコトハの意思でそうしないのだろうと、浅葱は考えていた。
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