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「2、3日留守にします。コトハを頼みます」 「はい」 「コトハ、お利口さんにしているんだよ?」 「コトハ、おりこちゃん」 「ん、そうだね」 十六夜はコトハと共に、出掛ける浅葱を見送っていた。浅葱が少しだけ、不安そうな顔をしている。 仕事とは言え、置いて行かなければいけないのが辛いのだろう。 「・・・たかみゃ」 コトハが高宮の袖を引きながら名を呼んだ。だが、意固地になっている高宮は、コトハに目を向けることをしない。 その代わり、引っ張られる袖を邪険に払うこともしなかった。 「たかみゃ?・・・んーー」 コトハは唸ると高宮の腕を掴んだ。高宮の体がピクリと動く。 「えと、えと」 言葉が浮かばないのか、コトハがもどかし気に尻尾を揺らす。 「コトハ、どうしたんだい?」 浅葱の問いにも「んとね、えとね」と要領を得ない答えを返す。 何かを伝えようとする気持ちは伝わって来た。高宮が困った顔で、仕方なさそうに、でもどこか嬉しそうにコトハを見た。 「えと・・・けがいぱい。あかいのいぱいなの」 「・・・毛が一杯?・・・あかいのいぱい・・・赤い毛が一杯ってことか?何だ?そりゃ」 言葉の意味を考えるように、高宮の眉間にシワが寄る。 「・・・コトハ?」 浅葱も困惑した顔をしてコトハを見た。何を言いたかったのか分からなくて問い返すのだが、コトハの中では既に終わった話になっているようだった。 得意気に胸を張り、顔中に『褒めて、褒めて』と書いてある。浅葱は苦笑を零すと、コトハの頭を撫でてやった。
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