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『けがいぱい。あかいのいぱい』 高宮へのコトハの言葉を思い出す。 (あの時、コトハは高宮様の腕を掴み、必死で言葉を紡ごうとしていた) 『けがいぱい』怪我をしたのは高宮。 『あかいのいぱい』全身を血塗れにして。 「お?どうした十六夜。俺に見惚れてんのか?」 十六夜の視線に気付き、喜色満面の笑顔を向ける高宮を十六夜は黙殺する。 「・・・主様」 「どうしました?」 「おまっ・・・相変わらず容赦ねぇな」 拗ねた口調で口を挟む高宮を睨み付ける。 「黙っていて下さい」 「・・・はい」 シュンと項垂れる高宮を一瞥し、改めて浅葱を見る。 「けがいぱい、あかいのいぱい」 「おう、そう言えば赤い毛の奴は居なかったぞ?」 見当外れのことを口にする高宮を、もう一度睨み付ける。そう言えばと、十六夜は思い出す。 あの時も、高宮の見当外れの解釈で話は有耶無耶になってしまったのだ。 「あの言葉は、この事を示唆していたのではないでしょうか」 十六夜の言葉に、浅葱は視線を高宮に向ける。 高宮は2人に見つめられ、挙動不審に辺りを見渡した。 「・・・成る程」 十六夜の言葉に納得したように呟き「コトハ」と呼んだ。 「あい」 コトハは十六夜の腕から離れると、浅葱の元へと向かう。ぎゅっと抱き着き頭を擦り付けた。
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