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浅葱は膝枕で眠るコトハの髪の毛を弄りながら、目の前に座る十六夜からの報告を受けていた。 ここは浅葱の自室だ。敷かれた布団には高宮が横になり、浅葱と十六夜を見ている。 治療の際に、色々便利だからと自室を使ったのが失敗だった。おかげで、高宮が動けるようになるまでの間は、自室を使えなくなってしまったのだ。 (だからと言って、今は動かす訳にも行かないからな) 妖の爪に遣られた傷は、かなり深かった。しかも、毒が仕込まれていたらしく血が止まらなくて難儀したのだ。 今動かせば、傷口が再度開く恐れもあった。実は一度開いていた。 コトハに構われるのが嬉しくて、無茶をし過ぎた高宮は、懸念した通り傷口が開き、治療をし直したばかりだった。 散々、浅葱と十六夜に叱られ、今は大人しく横になっていると言う訳だった。 十六夜から桜の神とのやり取りを聞き終えた浅葱は「そうか」と一言呟いた。 「この近くの公園の桜の神ってーと、桜華か?」 高宮の問いに浅葱が頷く。 「そうですね」 「十六夜、別嬪さんだっただろう。桜華は、性格はアレだが無茶苦茶綺麗な女だからな。狙ってる神も多いんだ」 「・・・へぇ」 十六夜は、冷めた目で高宮を見る。その目を受けて高宮が慌てたように言い訳を始める。 「いや、何、なんだ・・・狙ってるのは俺じゃねぇぞ?確かに別嬪さんだが、奴とは気が合わないんだ」 「それは、気が合えば狙うって事ですよね?」 「いや、えとな?」 「本当に、節操なしですよね?」 十六夜が溜め息を吐き詰ると、更に高宮が慌て出した。
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