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「じゃあ、少し出るからね。」
沙織は健太に笑顔で告げた。
「ああ、いってらっしゃい。」
健太も笑顔でそれに答えた。
そんな2人の会話から2時間が過ぎた。
いくらなんでも遅すぎるのではないだろうか?
そう思った健太が沙織に電話をかけるためにスマートフォンに手を伸ばした時、スマートフォンが激しく振動した。
健太は相手を確認せずに反射的に電話にでた。
「吉田 健太さんですか?」
電話口から聞こえた声は健太が聞いたことのない男の声だった。
「はい、そうですが…。」
「ああ、連絡がついた。急ですみません。岡田 沙織さんをご存知で?」
「はい、もちろん…。」
「落ち着いて聞いてください。岡田 沙織さんは今病院にいます。」
「は?」
そこからの健太の記憶はなかった。
ただ、慌てて病院へ向かい、白い布を顔にかけた沙織だったモノに会った。
沙織だったモノの横で沙織の両親が声をあげて泣いている。
どうしてこれが沙織だとわかるのだろうか?
だって、沙織はつい2時間前まで笑っていて…。
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