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魔女の含み笑いで、拙い立場に立たされている感じがする。
その時、晴臣の脳裏に浮かんだのは、幼い日のあの決闘の事だった。
あれを麻紀さんに話すなんて、何て事をしてくれるんだ・・・夏彦の奴め・・・
「全く目障りな奴だ。早目に始末して置けばよかった」、と本気で後悔した。
私の今の名前は、鷲頭文月。
夫は冷酷で非情な、風林火山を絵に描いたような男、と言われている。
実業界に辣腕でその名を知られる、鷲津晴臣の妻。
手が付けられ無いほど嫉妬深く、独占欲に塗れている男。
そして優しくて可愛い、私の愛しい夫。
なかなかに、面白い人生を生きている。
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