第二章  女優と桜子

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 魔女の含み笑いで、拙い立場に立たされている感じがする。  その時、晴臣の脳裏に浮かんだのは、幼い日のあの決闘の事だった。  あれを麻紀さんに話すなんて、何て事をしてくれるんだ・・・夏彦の奴め・・・  「全く目障りな奴だ。早目に始末して置けばよかった」、と本気で後悔した。  私の今の名前は、鷲頭文月。  夫は冷酷で非情な、風林火山を絵に描いたような男、と言われている。  実業界に辣腕でその名を知られる、鷲津晴臣の妻。  手が付けられ無いほど嫉妬深く、独占欲に塗れている男。  そして優しくて可愛い、私の愛しい夫。  なかなかに、面白い人生を生きている。
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