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何とかしなくてはと思ったから、晴臣の腕の中から出て、起き上がった夏彦の顔を思いっきり平手で打った。顔に手形が赤く浮き出る程に、容赦なく打った。
振り返って、晴臣に微笑んで言ってみた。
「私、仕返ししてやった」
それからまた気を失ったらしく、気が付いたら車の中だった。晴臣に抱かれていて、心配そうに彼が覗き込んでいる。
目を開けた私に、厳しい声で言い付けた。
本当に怒っているらしく、口許が険しくて怖い。
「これからは出版社の方が邸に来る。君は暫く邸から出さない、いいね」
本当にそれから十日間、邸から一歩も出してくれなかった。
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