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 地球は銃器や鍵の扱いだけでなく、機械全般にも強い。電子機器の扱いにも長け、世間ではハッカーやクラッカーと呼ばれるようなこともしている。  集会の後、証拠を消すために情報を改ざんしたり消去したりするのは地球の役目だった。  犯人役に仕立てあげた者たちが仲間だということを悟られてはいけない。  ナンバーズに背を向けて久も帰路についた。  正直なところ、違反者に憐憫を抱いていないか、と言われたら嘘だろう。結局彼らも宗教に弄ばれ、依存し、そのせいで欲望に呑まれてしまった。  どろりと、コールタールのように真っ黒な感情が久の胸中を侵食し始めた。  その場にしゃがみこんで胸を押さえる。それでも動悸が抑えきれず、シャツを思い切り握りしめた。  宗教というものを心底嫌悪していた。殺人がいいことだと思ったことはない。それでも力があって、それを使える場所というのは珍しい。砂漠の中に放り出されて、着の身着のままオアシスを見つけ出すようなものだ。  そう、地理を知らなければ息絶えるのみ。  深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。何度も何度も肺から息を吐き出すと、黒い感情も少しずつ流れ出していくような気がした。  空を見上げると、ちょうど三日月が雲に隠れるところだった。  月の光が届かなくなると、暗闇に取り残された気分になる。街灯はあるのに、急に世界が無機質に思えて、とてもつまらない物になってしまったような感覚を味わった。  早く帰って熱いシャワーを浴びよう。そして、泥のように眠ろう。ただそれだけを考えていた。  ナンバーズという幹部だけが持つ指輪が、人差し指で街灯の光を反射していた。
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