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チョコレート&ビタースウィーツ
小学校から続けていた野球を、僕は中学校卒業と共に辞めた。
野球は嫌いではなかったし、甲子園に対する憧れもあった。
しかしそれは、高校3年間もこれまでと同様に坊主頭で過ごすのかと自問自答した際、わずか3秒で今の答えに達した。
つまり即決だった。
野球を辞めれば髪の毛を伸ばせるのだ。
これまでリトルリーグからずっと野球一筋、色恋沙汰のない人生だった。
それもこれも一切合切なにもかも。
髪の毛が無いからに他ならなかった。
思い返せば歌やダンスで女子から人気の芸能人たちは皆、男子であるにも関わらず耳が隠れるほどの長髪だった。
野球で培った投手や投球に対する分析力が、ここぞとばかりに発揮され、結果としてそれは正しかった。
高校に入学し、1年半も経つ頃には、僕の頭皮は生い茂る黒い毛髪で覆われた。
輪郭や目鼻立ちが近い人気芸能人を無理やり探して、そして無理やり似たような髪型にしてキープしていた。
眉毛を超えて、自身の髪の毛を視認できるようになる頃からだろうか。僕は前髪を指でくるくるする仕草が癖になり、その年なんと人生初のバレンタインチョコをゲットした。4個もだ。
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