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中には本命2つもあり、そのうち一つはクラスのマドンナ、恵梨香ちゃんからだった。
もう片方はクラスではあまり喋らない。卑屈で、やたらと長髪で顏も見えない不気味な女子、さわ子からだった。
当然答えは決まっていたが、恵梨香ちゃんが返事を言う前に帰ってしまったため、保留となっていた。
明日返事を返そうと思い帰宅し、もらったチョコレートを自室の畳の上に広げると、つい口角が緩んでしまい、鏡に映る自分の顏は酷くだらしなかった。
僕は好物は最後にとっておく主義なので、一番期待していなかった卑屈なさわ子のチョコから食べる事にした。
さわ子のチョコは長方形で、まるで板チョコを溶かして、また同じ様な形に固めただけの様だった。
僕はそれを角から勢いよくかじる。
するとなんだろう。
独特の食感。
細く、筋張っているのだろうか、繊維質な物が歯に絡まる。
しかしどうだろう。
初めての食感だった。チョコの甘味に独特の苦味をアクセントとしてそれが添えており、口の中で溶けるチョコに対比する様に、それが確かな食感をプラスして、これは。
その繊維質な何かは板の方から全てずるりと抜けてしまい、僕の口から垂れ下がってしまった。
こぼさない様にと急いで口にそれをつめながら、ふと、鏡に目が向いた。
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