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あの頃の僕たちを言い表すならば、互いにかたくなだった、が適当だと思う。
なぜならあの頃の君は、僕が何度「結婚しよう」と言っても「ごめんなさい」と応えるばかりで、決して「うん」とは言ってくれなかったから。
一方の僕も、君が何度「ごめんなさい」と言ってきても、「結婚しよう」と言うのをやめなかった。
かたくなに
かたくなに
あの頃の僕たちはそうだった。
でも。
かたくなだったのは、君よりもきっと僕だった。
僕が一貫して同じ調子で「結婚しよう」と言っていたのに対し、君のほうは日によって、「ごめんなさい」の言い方や、そう言うタイミングが違っていたから。
君は、僕が「結婚しよう」と言うと間を置かず、きっぱりと「ごめんなさい」と言うときもあったし。
目を伏せてつらそうに「ごめんなさい」と言うときもあった。
一度だけだったけど、「ごめんなさい」ではなく「いい加減にしてよ!」と、イライラと大声で言ったこともあった。
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