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もう今日で辞めてしまいたいという思いを封印して、詩織は改めて彼の元に挨拶しに行った。
「今日からまたお世話になります。わからないことも多々ありますがよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げた詩織には興味も示さず、ちらりとだけ見て「ああ」と一言だけ言って、鬼束はまた目線をパソコンに戻した。
ああってそれだけ?
もう少し気のきいた言葉はないの?と心の中で攻める言葉は止まらない。
「あの、まず何をすれば良いですか?」
ひきつった笑顔で、無愛想な上司に恐る恐る訊ねた。
また彼は詩織に目をやり一つ大きな溜め息をつく。
「今は忙しい。仕事はあるけど説明が面倒だ。まずはうまいコーヒーでも入れてくれ」
そう言いながら眉間を揉んで、また視線は元に戻っていった。
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