プロローグ

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何で今頃あの時の夢を見たのだろう。 まどろみながら考えた。 私が小学六年生の時の事だ。 あの頃は時々見ることもあったが、ここ数年思い出すことすらなかったのに。 あぁ、そうか。 昨日合ったばかりのあの横柄な研修先の先輩に後ろ姿がどことなく似てると思ったんだ。 そう思った瞬間、すぐに否定した。多分、あの人はあんな横柄なんかじゃない。 試合中、ほとんど後ろ姿ばかりで顔もわからなかったし、もう覚えてもいないけれど、きっと真面目で優しくて素敵な人なはずだ。 絶対にあんな奴とは似ても似つかない。 そう思いながら、また眠りへとついた。 一時間後の目覚ましが鳴ったときにはもう、そんな夢を見たことさえ忘れて、詩織は身支度を整え始めた。
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