第1章

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温かくして極力そっと運ぶように、と言葉を添えた晴明の言葉に近習たちが頷いた。 すっかり登った太陽の下、男たちが門を出て行く。踏みしだかれた草の匂いが庭に残った。 「とりあえず味部殿の屋敷に行って来る。博雅の身体が着いたら北の対に運んでおいてくれ」 幸せそうな顔でぺたりと獣に貼りついた春波が、こくりと頷いた。
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