プロローグ・重ねた月日

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プロローグ・重ねた月日

 初めて会った時の記憶は実のところ、全くない。それは彼もきっと同じだろう。ただ彼が「特に覚えている必要のないこと」と忘れてしまったのに対し、当時の私は残念なことに記憶できるほどの知能を持っていなかった。  それでも、だ。それでも、まだ言葉も怪しい二歳の頃、私は十二歳の彼に恋をした。  紛れもない、初恋である。
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