13章 復讐は色鮮やかに美しく

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・ 公爵の肌に立てたグレイの爪が鋭さを増して伸びていく── 公爵はその様子に動かぬ瞼を引っ張りあげるようにして眉を微動させた。 見開いた眼球が凝視する。 晒された公爵の肌に立てられた鋭利な爪先はグッッと公爵の腹の肉を鷲掴む。 「──!…」 公爵は出ない声を絞り出すようにして口を開いていた。 身をもぎ取る音 肉が裂け、鈍くて滑る血がボトリと床に滴っている。 腹をこじ開け掴んだ肉の塊はグレイの手に握られていた── 「贅沢な暮らしぶりが見てとれるな?」 グレイは手にした肉を眺め、無造作に床に放って捨てた。 「それでも人間は欲深い──…深すぎる欲は罪だ」 語りながらまた鋭い爪を公爵の腹に向ける。 「そしてそれは我等魔物の餌になる──」 「──…っ…」 また肉を鷲掴んだ手が床に向けられた。 グレイの足元にはいつの間にか数匹の黒い体をした小人の生き物が姿を現していた。 それは曲がった背中で這うように床を歩き回る。小さな顔に似合わず尖った大きな耳と大きな目。 それは公爵の視線に気付きふと振り返り見上げると、にたぁ、と裂けた大きな口で笑いノコギリのような黒ずんだ歯を見せた。
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