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グレイが捨てた肉を拾うとその魔物はリンゴでもかじるようにしてその肉を口にする。
グレイはまた抉った公爵の腹の肉を別の魔物に与えた。
「こいつらはお前達人間から溢れる邪気。その塊から生まれた魔物だ──…」
「…っ…──」
「そして邪気にまみれた人間の肉を喰らう」
グレイから与えられる肉を順番待ちして手にしていく。まるで園児がおやつをもらっているようだ。
小さな魔物達は貰った肉を受けとると鼻歌を唄いごきげんな様子で口に頬張っていた。
「ふん、お前の肉が相当お気に召したようだな」
グレイは公爵の耳元でそう囁く。
「なら直接喰い漁ってもらえ」
「──…っ!…」
振り上げたグレイの鋭い四本の爪が残りの腹の肉を大きくエグりさった。
飛び散る肉片が床に叩き付けられる。こじ開けられた胴体の内部。
表の肉よりも魔物達は公爵の内臓に大きな黒目を輝かせていた。
わしゃわしゃと寄り集まりケンカをしながら公爵の内臓を取り合う。
一匹の魔物は公爵の腹の奥に手を突っ込むと腸を引っ張り出していた。
腹から次々に内臓を取り出されて喰われる自分の姿に目を背けたくてもできない。
公爵は狂ったように見開いた目から涙を流し続ける。
痛みはとうにない──
だが、腹をかき回されて内臓を牽き千切られる感覚だけはしっかり伝わってくる。
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