13章 復讐は色鮮やかに美しく

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・ 「ヴゥ…っ…」 ズルリと自分の腹から赤い紐状の肉が引き摺られ公爵はうっと顔をしかめた。 細長い内臓を魔物達は床の上で奪い合いながら喰い千切る。 グレイはその姿を目に止めると公爵の頭頂部の髪を鷲掴んだ── 「そろそろ喰われる事にも厭きた頃だろ?──」 「──っ…」 ギリッと強く掴んだ手に力を入れるグレイを、公爵は顔を震わせながらみつめた。 目の前の真っ赤な瞳に怯え、嫌だと抵抗するように公爵は小さく首を振る。 グレイはそんな公爵にとても冷ややかな美しい笑みを向けていた。 太い肉が切断される鈍い音が室内に隠る── 鷲掴んだ髪と頭部がグレイの手からぶらりと下がり、公爵の血走った眼球は気味悪い程に白眼を剥いていた。 リモーネは腕を高く上げたグレイの手からぶら下がる公爵の頭部にヒッと声を上げ、口元を押さえる。 背中を向けたまま──、グレイはゆっくりと口を開いた。 「どのみちこの男は斬首刑だ──…」 「……っ…」 「時期、国王の兵がここへやってくる──…」 「──……」 「お前も早く去るがいい──…それとも…」 そう言い掛けて後ろを振り返った。長い足で床を鳴らし近づいてくる。
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