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「──…っ…ひ、…い、いやっ…いやぁ──っ…」
千切れた公爵の頭部がゆらゆら揺れている。
それを手にしたまましゃがむとグレイはリモーネの頬に血だらけの手を添えた。リモーネはグレイを突飛ばし、高く大きな悲鳴をあげて屋敷から飛び出して行く。
グレイはその後を見つめると押された肩を手で払い、ふん、と形のいい鼻を鳴らした。
小さな魔物達は満たされた腹に満足したのか楽しそうに室内の中を動き回る。
一匹の魔物はグレイの肩にしがみつき公爵の頭部をねだっていた。
穢れた脳みそほど美味なものはない──
「これはここへ置いていく──…お前達も早く戻れ」
闇の主に冷たくあしらわれ、小さな魔物達は渋々と背中を丸めて姿を消した。
グレイは公爵の卓の前まで来ると手にした頭部をそこへ置く。
内臓を食い荒らされ、首を切り離されたとて──…
お前の犯した罪は消えん……
闇の世界で朽ちるまでその罪を背負い
俺に使われるがいい──
グレイは公爵の頭部に背中を向ける。
「ま、生首ごときに何ができるか知らんがな」
肩をすくめてそうボヤくとグレイもその場から姿を消した。
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