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「な・何の言い掛かりだぁ? 刑事だからって、勝手な疑いを掛けるなら裁判に出るぞっ」
周りに子供が居る手前、小声にしながらも無理やりに脅し返す遠矢だが。 その内心では…。
(そんなバカな゛ぁっ!!!!! アレがっ、あの夜の事がっ、他人にバレてる訳がネェっ!)
明らかに動揺して、心底から浮き足立つ。
一方、遠矢に睨まれて脅された木葉刑事だが、その様子には全く怯える事も無く。
「遠矢さん。 アンタ、ザ~ンネンだったね」
「何がだっ」
「貴方が遥果さんを殺した、あの晩に。 貴方と向坂さんが会った場所の足立区では、あの広縞が同じ区内では二件目の殺人を犯していてさ。 環七と国道461線の交わる交差点から、警察署に近いあのお寺の境内。 新設された新型の防犯カメラに、なぁ~んとバッチリと映ってるンだよねぇ・・」
この話を聴いた遠矢は、目をギョロッと見開いた。
(は・・ハッタリじゃねぇ…。 コイツ・・どうっ、どうしてぇ…)
そして、どれくらいか。 10秒以上は間を開けてから。
「な・なな・・何が、言いたい・んだ?」
毒気の抜けた声を震わせて、問い返す遠矢。
すると木葉刑事の目が、ゆっくりと細くなり。
「遠矢さん、貴方ならもう解ってるクセに・・。 刑事の俺は、あの時に女性を殺害した広縞を捜す為、防犯カメラの映像をチェックしていたんだけどさ…」
木葉刑事の語る話が進むにつれて、遠矢の頬が引き攣る様にヒクヒクと動く。 木葉刑事の眼に映る遠矢の顔は、明らかに動揺している顔だった。
そして、遂に喋れなくなった遠矢に、木葉刑事はナイフの切っ先をゆっくりと刺し込む様な感じにて。
「ひ・と・ご・ろ・し」
と、態と間を空けた言い方で言葉を紡ぐ。
「嘘・・だ。 そっ、そんな訳が・・な゛・無い」
慌てながらも、緊張と恐怖により言葉が上手く言えなくなった遠矢。
だが、言葉のナイフを突き刺した木葉刑事は、その踏み込んだ気持ちを抜く気も無い。
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