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愕然と立ち竦む遠矢。 その事実は、他人には絶対にバレてないと自負する事が出来ていたからだろう。 今日はまだ肌寒いのに、自分の遣った罪を見透かされた気に成った遠矢は、冷や汗をタラタラと流し始める。
「な゛、何で・・お前が・そっ・それを・・知ってるン・だぁ?」
遠矢が信じられないとばかりに呟くと。
睨む木葉刑事は、顎で遠矢の肩をしゃくり。
「解らないのか? アンタのその背中にはな、これまでオタクが人生を奪って来た人々の怨念が、血で付けた手跡の様に。 ベタベタと、ベッタリとくっ付いてる。 “早く死ね”、“お前だけは許さない”って、今にも首を絞めそうだ」
(そんなっ、バカな゛っ?!!!)
驚愕の顔をして振り返る遠矢は、賑やかな子供達の遊ぶ光景を見るのみ。
然し、その左肩の後ろからは…。
「首を洗って、覚悟しとけよ。 アンタの首には、縄が掛かる。 視えるぞ、冷た~い荒縄が掛かって、奈落へと突き落とされる姿がな」
木葉刑事の氷のように凍えた声がする。 まるで、首に手を掛ける様な、非情に覚めた声だ。
「はぁっ!!!!!!」
息を吸い込む様な声を出して振り返る遠矢。 その視界には、駅へと去って行く木葉刑事の背中が見える。
(じ・じょ・・・冗談じゃ・・ネェ。 だっ、だだっ、誰が捕まるかぁーーーーーっ!!!!!!!!!!!)
苛立ちより、逃避より、恐怖から怯えてこう思う遠矢。 その気持ちが全て行動に繋がるのか、ゆっくりと木葉刑事を追い始めた。
さて、散々に遠矢を脅しておきながら、何故か放り出した木葉刑事は。 スマホにて午後の4時を回った今の時間を確かめると。
(なぁ、遠矢さんよ。 警察も実は、意外とハイテク化してるんだゼ。 遠矢さん、憎っきアンタを潰せるならば、警察は人を幾らでも遣う)
こう思いながら電話は掛けず、画面を指で打つ。 それは、新しい連絡機能として、警察がラインと似たアプリケーションを導入したのだ。 木葉刑事のスマホに入るのは、篠田班の中でのグループコミュニティーだが。 その内容は、警視庁と警察庁が管理している。
この時、木葉刑事の打つ情報は、もう里谷刑事に伝わっていた。 遠矢が罠に掛かったと里谷刑事は見ると直ぐ様に、本庁で残る篠田班長へ文字にて連絡を付ける。 一報を貰った篠田班長は、自身も妻帯者で子供が居る身だ。 あの悪い噂しか無い遠矢に、古川刑事の娘で在る詩織が狙われて居ると知った瞬間。
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