第一部・続

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「な゛んだとぉぉぉっ! それでどぉしたぁっ」 と、部屋中に響く声を出した。 その班長の声が音声認識ソフトを介して里谷刑事のスマホに文字として返れば、木葉刑事の作戦をメールにて送る里谷刑事。 その文面にて作戦を知った篠田班長は、その危険で大胆な計画に驚いたが。 木葉刑事のする時間稼ぎの合間に出来る事は、さして多くないと察し。 ー 里谷、話は解った。 諸々の手配は、この俺に任せとけっ - こうスカイプ機能にて返事をした。 木葉刑事を密かに追いかける遠矢を監視する里谷刑事は、その返しを見て準備は整い始めたと知る。 (木葉さんの計画、案外スゴいかもね。 よぉ~し、待ってろよ・・遠矢っ!) 警察が手を拱いて来た悪人逮捕に向けて、眠気も覚めた里谷刑事はサングラスを掛けて遠矢の後を続けて着けた。 一方、一人で行動する木葉刑事は、駅まで歩いては小田急小田原線に乗って都内へ行く。 乗り継ぎを一回経て渋谷駅に来た木葉刑事は、‘しぶちか’を回ったり、百貨店で買い物をしたりした。 そして、夜の7時を回った頃か。 一人、目黒区に在る警視庁の新・宿舎へ戻るべく。 田園都市線で、最寄りの池尻大橋駅で降りた。 そこから新・宿舎へ向かって歩いて行く木葉刑事は、駅前より細い路地を選んで向かう。 自転車や他の歩行者も多数見えるが…。 大きい工務店とか、家電の本社やらが在る建物群の中を抜けて行き。 大学の舎屋脇を抜けて、木葉刑事の足は北沢川緑道へと。 この北沢川を挟んで左右に沿う様に伸びる歩道は、桜の木を中心とした植物が植わり。 その反対側は、住居や店舗が壁の様に並ぶ。 木葉刑事が歩く歩道は、右に建物が沿い。 左は、川沿い。 その街灯の灯りやコンビニの灯りも見える、川沿いの遊歩道へ差し掛かると。 他人の往来が途絶える切れ間を見て、宵闇の中で木葉刑事に走り寄る黒い影が一つ。 そして、木葉刑事が桜の木の影に入る辺りで、その走り寄った影が街灯の明かりを反射するモノ。 サバイバルナイフを抜いて、木葉刑事の背中へと突き出す。 処が、その刺され様か、と云う処でパッと振り返った木葉刑事は、ナイフを仰け反ってかわした後。 態勢をよろめかせながらも思いっ切り後ろへと飛び退いた。
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