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見たくも無い園長だから、写真を手に取らずして。
「コレは、一体何ですか?」
一方の遠矢は、勝ち誇った笑みを浮かべ。
「アンタの破廉恥な写真だよ」
と、蛇が獲物を睨む様にほくそ笑む。
遠矢の脅しめいた言葉に驚く園長は、その写真を慌ただしく手にした。
園長が写真を確認するのを見た遠矢は、
「独身のアンタが、他校の学生を夜に自宅へと招き入れている。 こんな写真が出回ったら、この学園の信用も…」
と、彼女を言いくるめに入った。
然し、その喋りを遮る様に、園長は机に写真を叩き返し。
「勘違いもイイ加減に為さいっ! 卑怯な上に、脅しまでっ。 これは脅迫として警察に訴えます!」
園長が毅然として怒鳴った。
相手が屈しないと見た遠矢は、ガバッと立ち上がると。
「このぉアマぁっ! 警察に言えるものならっ、言ってみやがれっ! お前の所の嘗ての副園長が、学生と乱交していたのもバラすぞぉ!!」
まるで押さえ付けるように怒鳴り散らす。 明らかな力押しだった。
一方、それを受けた園長は、写真を見る前の態度から一変して冷静に成りながら。
「それは、どうぞ御勝手に。 あの一件は既に警察の調べも入り、彼の行為は副園長の引退後と結論が出ています。 貴方の様な薄汚い記者に、此方も易々と屈しませんよ」
と、此方も徹底抗戦の構えを態度で見せた。
すると遠矢は、残虐性の強い眼を顔に現して。
「それならこっちも、それなりの手段を取るぞ。 お宅の学園の一般コースには、まだまだ現役で悪さをしてる学生が居る。 その悪さを全部記事にして、学園の印象を地に落としてやるっ」
と、こう云うではないか。
これには、園長も顔色が強張った。 何故ならば、実際の方針として、優秀な生徒にはしっかりとした教育の場と運動場や器具を備え。 質の高い講師や選りよく質の在る環境を用意するには、それなりにお金が必要だ。 そして、そのお金を生むのは寧ろ、この学園に出席だけして。
“この有名学園を卒業した”
と云う、そうゆう事実を欲しがる、裕福な家庭の生徒で在る。 もし、下手に悪い噂が流されれば、その方面の収入が激減し。 家庭環境の貧しいが才能の在る若者などを、優遇して受け入れてやれなく成る。
此処にきて、強く反論の出来ない園長と優位性を見出した遠矢の眼が、立った者と座る者と云う斜めにして噛み合った。
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