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これなら世界中の人と繋がれるよね?
そう笑う月見を、和泉は目を丸くしたまま見つめる。
相変わらず不思議な人で、それでいて……。
「意外としっかりしてるんだよなー」
思ったことが思わず声に出てしまった。
「え、俺、しっかりしてるだろ?」
月見が当然とばかりに言うのを、
「えー?」
首を傾げて和泉は答える。
でも、空で繋がるなんてどこのロマンチストなんだと思うけれども、言われてみると、ちょっと目から鱗だったり……。
ファンのことを考えて、大切にしようと考えて、遠くの会えない子とどうやったら間接的にではあるが時間を共有出来るのか……その答えが「空を見る」なんだと感じた。
無理はあるけれども、しっかりした考えを持っている。
遠くに離れていても、空は一つしか無いから。
「だから、ね?」
ほんわかと陽だまりにいる猫のような笑みで言われると、和泉は小さく頷いた。
「王子ってさ、ロマンチストだよねぇ」
「うん、そうかも」
あっさりと返される。
二人は顔を見合わせて静かに笑った。
「それじゃあ、そろそろ行こっか?」
先に月見が立ち上がると、和泉もそれに続く。
二人はカップを片付けて店を後にした。
駅までは一緒だ。
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