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はじまりは仕事の話だった。
僕の会社は特殊な樹脂製品を製造販売している会社で、外国にも輸出しているくらいのけっこう大きなシェアをもつ会社だった。
うちの会社で特許をもつ特殊な材質、特殊な製法のもので、それを使った部品の製造注文が入ることがよくあるのだけど、その時もそういう話しが入ってきた。
僕の所属している開発部に相談に来たのが、企画営業部に所属する紬希だった。
紬希は企画営業部でも、主に大口の顧客を扱っていて、主任の役職を持っていた。
こういうものを作れないか、そういう相談をしにうちの部署を訪れた彼女の応対をしたのが、たまたま僕だった。
紬希の持ち込んできた話は、なかなか難しい話で、僕だけでは即答できなかった。
そのときは開発部内で検討のため、一度資料だけを受け取って終わりとなったが、それから紬希は打ち合わせのために頻繁に開発部を訪れるようになった。
最初に応対したのがたまたま僕だった。
それだけの偶然だったのに、それがいつの間にか、この件の開発部の担当者が僕になっていた。
紬希と二人で打ち合わせする機会も増え、同行して顧客のところへ行くことも何度かあった。
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