ごめんなさい

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「お前なぁ、桜川は人気あるんだぞ。営業部の連中だけじゃなく、サポート部の手塚や田村、それに奈良橋や亀田も。うちの部署だって、和田や野村なんかも何気にチャンス狙ってるしな」 「和田って、あいつ彼女いるだろう?」 「チャンスがあれば乗り換えるつもりなんだろう。お前もあれくらいガツガツいかないと、気付けば孤独老人だぞ」 「孤独老人って、俺まだ二十代だけど」 「時が過ぎるのなんてあっという間さ」 熊谷はそう言って笑った。 同い年のはずなのに、熊谷はどっしりとした安定感があって頼りがいのある男だ。 女子はこういう男を好きになるのだろう。 「はあ…熊谷はいいな。モテるヤツは羨ましいよ」 「お前だって、もっとこう、髪や服をビシッとキメて、和田みたく自信たっぷりにしてたらモテると思うけどな」 「僕が?よせよ、悪い冗談だ」 「いやいや、立川も隠れイケメンだって言ってたぞ。ただ、その存在感のなさがな」 「それは気にしてるんだよ…」 「はははっ、悪い悪い」 そんな話をしているところで、ドアがノックされた。 「失礼します」 紬希だった。 「あ、佐藤さん。ちょうど良かった。さっき、お客さんから連絡があって。ちょっと打ち合わせしたいんですけど、お時間大丈夫ですか?」 「え、はい…」 僕が返事をしようとしたのを、熊谷が遮った。     
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