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「その仕様変更はキツいですよ。納期がずれ込みます」
「でも、そこは譲れないらしいの。もう広報も動いていて、注文も入ってきているらしくて」
「困りましたね。デザインの問題だけなら、マイナーバージョンアップとして時期ずらせるでしょうに」
「私もそう提案したのですけど、社長の厳命だそうで…」
「厳しいな…」
打ち合わせが続き、気づいたら終電が終わっていた。
店を出た後、行き場を失った二人は仕方なく、二十四時間営業のインターネットカフェに駆け込んだ。
ただ、意外に客が多く、空いているブースはペア用の一ブースしかない。
それでもシャワーも浴びれて、寝る場所も確保できるのは大きい。
インターネットカフェなら完全密室と言うわけでもないから大丈夫…ということで、結局、二人で泊まることにした。
「すみません…夢中になってしまって…」
「いえ、私こそ…」
気まずい空気のまま、とりあえず借りた毛布にそれぞれくるまって寝ることにした。
もちろん、寝れるはずもなかったけど。
朝食は近くのカフェだった。
紬希と二人で食べる朝食は、簡単なトーストと珈琲のセットでも最高のごちそうだった。
一晩を一緒に過ごし、朝ご飯も一緒に食べていると、何だか今まで以上に近い関係である気がした。
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