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例え、とうの昔に兄の手に落ちてしまっていたとしても、エミリオにはアリエッタしか見えなかった。
ずっと好きだったのだ。まだ幼かったあの頃から、ずっと。
「アリエッタ、俺のものになって。兄さんなんかよりもずっと、お前のこと、大切にするから」
唇を何度も重ね直しながら途切れ途切れに囁けば、アリエッタは縋り付くようにエミリオの背に手を回し、何度も何度も頷いた。
もう止まれない。煌々と陽の光が窓から射そうとも、他の誰かの目に着こうとも、もう、エミリオには目の前のアリエッタしか見えない――
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