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――わけがなかった。
「何やってんの、お前」
唐突な言葉に、エミリオは上体を跳ね起こした。半開きのドアの前に立っていたのは、呆れた顔で腕を組むウルバーノだった。
「に、兄さ……」
「てか、臭っ! どういうプレイなのそれ」
鼻先を指でつまみ、ウルバーノが後退る。眉を潜めて部屋の中を凝視する兄に見せ付けるように、エミリオは腕の中のアリエッタをきつく抱き締めた。
「アリエッタは俺のだから!」
「ああ、うん。それは前にも聞いたけど」
呆れたようにそう応えると、ウルバーノは後ろ髪を掻きながらさっさと奥の廊下へと歩いて行った。
あまりにも呆気ない展開に、エミリオは何度も瞬きを繰り返した。
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