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「あの日わたしは、ウルバーノ様に新しく覚えた遊びがあるからって呼び出されて。その後も度々呼び出されては、口での奉仕を強要されていました。でも、エミリオ様のあの言葉があって、ウルバーノ様はわたしを呼び出すことがなくなったんです」
白濁で濡れた床敷きを念入りにタオルで拭いながら、アリエッタは囁くようにエミリオに打ち明けた。
洗顔用に用意されていた水で顔を洗い、身体を拭くと、エミリオは水に濡らしたタオルをアリエッタに差し出した。「ありがとうございます」と微笑んで、アリエッタは話を続ける。
「ウルバーノ様が怖くて、苦しくて、でも誰にも助けを求められなくて。そんなわたしを、エミリオ様のあの言葉が救ってくれたんです」
『アリエッタは俺のなんだから』
兄に嫉妬して、アリエッタへの好意を上手く伝えることもできなくて、咄嗟に口にした子供の言葉。図らずしもそれが、あのとき人知れず苦しんでいたアリエッタを救っていたとは。
エミリオの顔に、自嘲するような笑みが浮かんだ。
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