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アリエッタはエミリオの家の使用人の娘で、子供の頃から共に育った幼馴染のようなものだ。
エミリオの家は然程裕福ではない。使用人は炊事を担うアリエッタの母と、庭仕事を担うアリエッタの父と、その他の雑用を担うアリエッタの三人だけだ。
アリエッタは昔から虫の類が大の苦手で、ちょっと目にしただけでも、それはもう大騒ぎだった。鼠や害虫が出ることも日常茶飯事なのだから、それでは掃除すらままならないだろうと考えて、はじめは慣れさせるためにはじめたことだった。けれど、最近は違う。
最近のエミリオは、単に彼女を苛めているだけに過ぎなかった。それは、八つ当たりのようなものでもあった。
泣きじゃくる彼女の姿に愉悦を感じるようになったのは、去年の夏、寄宿学校の夏季休暇で三つ年長の兄ウルバーノが帰郷した、その夜からだった。
穏やかで優しく優秀な兄は、エミリオの憧れだった。
兄と同じ黄金色の髪と碧い瞳は、エミリオの自慢であり、誇りでもあった。家庭教師に教わることができる勉強ですら、敢えて兄に教えて貰いたいと思うほど、エミリオは兄を尊敬していた。
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