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兄と同じ寄宿学校へいずれ入学することが決まっていたエミリオは、勉強を見てもらうため、深夜、兄の部屋を訪ねた。
勤勉な兄は家に戻った後も図書室で熱心に勉強をしていた。きっと今も、寝る間を惜しむように勉学に励んでいるのだろう。少し驚かせてやろうと思って、エミリオは兄の部屋の扉をノックせずにそっと開き、室内の様子を窺った。
暗い部屋に、蝋燭の灯りが灯っていた。机に兄の姿はなく、その代わり、部屋の中央に置かれたソファの上で人影が揺れていた。
ぴちゃ……と湿った音が、エミリオの耳に届いた。荒い息遣いと、低く唸るような兄の声が、静まり返った室内に響いていた。扉の影から身を乗り出して、暗い室内によくよく目を凝らすと、兄の股の間に誰かが蹲っているのが見えた。
何故だかわからないが、エミリオは声を掛けることも立ち去ることもできず、ただ息を潜めてその光景に魅入っていた。
乱れた息遣いが徐々に激しさを増し、一際大きな呻き声とともに、兄は全身をぶると震わせた。
どこか艶かしくさえ感じられる蝋燭の灯りに照らされて、兄の股のあいだに蹲っていた人物が顔を上げる。
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