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 その姿をはっきりと目にしたとき、エミリオは扉を閉めることすら忘れ、自室へと逃げ帰った。  蝋燭の灯りに映し出された、白濁した液に塗れた彼女の顔は、何処か虚ろげで。然し乍ら、エミリオに初めての劣情を覚えさせた。  まだ幼かったエミリオは、下腹部に集まる熱の意味を知らなかった。この熱を逃す方法も、兄の行為の意味も、全くわからなかった。  それ以降、エミリオはアリエッタの顔を見るたびに、あの日感じた独特の艶かしい空気を思い出すようになった。その度に身体に宿る熱を発散する方法もわからず、兄にも両親にも相談できず、エミリオはアリエッタに嫌がらせをすることで、満たされない欲求を誤魔化すようになったのだ。
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