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「キリさん。カズに、あたしの首の上のほうに抱きついてもらって、それで走ったらどうかしら」
「……は? 何言ってんのルカ?」
ルカの突拍子もない提案に、あたいは目を白黒。
「あたしに角があるように見えると思うの、きっと」
「……」
キリさんは黙って腕組みしたまま、しばらくルカとあたいを、じっと見ていた。
「いいアイディアだと思うわ」
みなの沈黙を破ったのは、意外にも、普段無口なキキ。
「ルカの隣を大柄な私が走れば、
ルカの首のあたりは、横からはあまり見えなくなるはずよ」
キキはそう言って、あたいにウィンクした。
「そうだな。真後ろは俺が走ろう。後ろからは絶対見えないぞ、ルカの首は。
首どころか、肝心の角も見えないかもな、ははは」
トナカイの中で一番背の高いユウが、そう言って笑った。
「じゃ、ユウの隣には俺だな。
背丈じゃユウに敵わないけど、横幅は一番だからな、はっはっは!」
一番恰幅のいいシユがそう言って、みなを笑わせた。
「ルカとカズが走ってくれるなら、私も嬉しい。
いいでしょ、キリさん!」
エコが、うずくまったまま、キリさんを見上げた。
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