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ルカが。みんなが。
キリさんをまっすぐに見ていた。
「……仕方ないね。
カズ、みんな、頼んだよ!」
「えっ……ええっ!!
でも、でも、確かにソリの先頭を走るのはあたいの夢だけど、
でも、でも、……あ! ドジョウすくいもやんなきゃだし、プレゼント配りもしなきゃだし……」
突然の成り行きにあたいは、
スースーする頭がなおさら空っぽになったみたいに、真っ白。
「お前の夢を叶えてやろうってんだ、贅沢お言いでないよ!
ドジョウすくいもプレゼント配りも、みんなやった上で、だよ!!」
「おお~! キリさん、太っ腹!!
俺の腹には負けるけどな!」
シユが大袈裟に騒いだ。
「角のないトナカイが先頭を走ってたなんて知れたら、キリの里の名折れだよ!
今夜はお前はルカの角さね。ルカと一緒にしっかりトナカイ役、果たしてもらうよ!」
キリさんはそう言って、
角の帽子をあたいの頭にぽん、とかぶせてくれたんだよ。
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