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大変なことになっちゃった……。
ルカの首によじ登って抱きつきながら、
あたいは緊張で頭が回らない。
サンタのお供で毎年ソリのほうには乗ってるのに、
ソリを曳くポジションは、何でこうも緊張するんだろ。
「カズ、大丈夫? 頑張ってしがみついててね、なるべく揺れないように走るから」
ルカが、心配そうに言うから、
「ルカこそ大丈夫?
一晩中あたいを首で支えてて、途中でバテても知らないよ」
思わずやせ我慢。
キリさんは、鳥の長老のトキさんを肩に乗せて、みなの間を回っている。
トキさんは普段は里に下りて来ないけど、この日だけは庭にやって来るんだよ。
あ、トキさんと目が合っちゃった。
「ほう。キリ、今年は一風変わったトナカイがいるね。おっほっほっ」
肩先でトキさんが笑うから、キリさんはそっぽを向いてイヤーな顔しながら、こっちに歩いて来た。
「人手不足でやむにやまれず、ですよ」
「そうかねそうかね、おっほっほっ!
厳しい顔して、結局お前は甘いからね、ほっほっほっ」
トキさんは、ホントに楽しそうに笑ってる。
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