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「カズ、ルカ、僕今日初めて、君達以外の人に、飛ぶ夢を応援してもらった。
みんな馬鹿にするのに、子供達は優しいね。
僕、今日ソリに乗せてもらって、ホントに良かった」
帰りのソリの中で、カホは独り言みたいに言った。
「里のみんなだって、口に出さないだけで、カホのこと応援してるよ!」
あたいが言うと、ルカも頷いた。
「……うん。そうだね。そうだよね」
カホも、晴れやかな顔で頷いた。
シチさんが、穏やかに微笑みながら言う。
「子供達にプレゼントを渡しながら、実はいつも私達のほうが、元気や希望をもらってるんだ。
これだからサンタはやめられないね」
シチさんの言葉に、みんなが深く頷いた。
「さあみんな、ちょっと急いでくれるかな。夜明けが近い。
カホの人気のおかげで予定よりも時間がかかったからね」
夜更けのお月さまはもう、山の端に沈みかけている。
鈴の音だけが響く空を、
あたい達は、出かける時よりももっと幸せな気持ちに包まれて、
走ったんだよ。
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