赤尻トナカイ…秋の恋

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「こーけこっこーーーっ」 バサバサっ!! バサバサバサっ!! ガチャン! ガチャガチャ! ガチャン!! 「こーけこっこーーーっ」 バサバサっ!! バサバサバサっ!! ガチャン! ガチャガチャ! ガチャン!! トナカイ達がみんな、何事かと起き出した。 「うるさいな! なんだよ、あのガチャガチャした音は」 「なんか綺麗な声がしたと思ったのは気のせいかしら?」 ルカが神妙な顔で謝る。 「皆さんごめんなさい。 朝は特に鳴くだけじゃ収まらないみたいで」 え? あれはカホがやってるの? あたいはルカに尋ねた。 「カホはどうかしたの? 時告げをしてるだけじゃないの?」 ルカは悲しそうな顔で黙り込んだ。 あたいはすぐにカホの寝床に行ってみた。 カホは寝床にはいなくて、 解体したソリが整備のために所狭しと並べてある庭を、走っていた。 バサバサっ!! 「こーけこっこーーーっ」 カホは、走りながら羽を広げて、飛ぼうとしていたんだ。 ニワトリって、飛べるんだっけ? 確か、飛ぶのは下手なはず。 ガチャン!! ほら、ソリの部品の上に落ちた。 でもカホはすぐに起き上がる。 「こーけこっこーーーっ」 バサバサっ!! ガチャン!! また落ちた。 「カホ! どうしたの!?」 「うるさいな、邪魔しないでくれよ、僕は飛ぶんだ!!」 「キリさんが起きてきちゃうよ、怒られるよ!?」 「かまうもんか!! こーけこっこーーーっ」 バサバサっ!! ガチャン!! どんなに止めても、ダメだった。 カホはその朝、ご飯を食べさせてもらえなかったんだ。
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