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それから毎日あたいは、キリさんの留守を見計らって、カホを小屋から連れ出した。
手先だけは器用だもん、あたい。
小屋の鍵なんて、簡単に開けられる。
トナカイ達も、それで早朝に安眠できるなら、って、
みんな見て見ぬふりをしてくれた。
ただルカだけが、寂しそうに、でも心配そうに、
いつもあたい達を見つめてた。
わかってたけどその時は、ルカは何で協力してやらないんだろう、
ちょっと見損なった、なんて思ってた。
バサバサっ、バサバサっ!!
ドサッ!!
「頑張れ、カホ!
もうちょっと!」
カホが頑張ると、自分が頑張ってるみたいで、嬉しかった。
バサバサっ、バサバサっ!!
ドサッ!!
「あっ、今、浮いた!
ちょっと浮いたよ!!
カホ、すごい!!」
「へへっ。もうちょっとだよな、カズ!」
カホが初めてあたいの名前を呼んで、笑った。
なんでだか、胸がきゅぅん、ってなったんだ。
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