小さな頃に呼んだ絵本の話をしよう

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そして一生を猫の姿のままで生きた。 そして猫は骨になり木の下で息絶えた。 その体は木の糧となり、 血肉になった。 魂は消えども、残り残った情念だけが、 その木に宿った。 もう一度戻れるならと、 伝えられない我が身を省みず、 恥にも願いすがり付き、 猫は戻る。 だけどそれは木の姿 風に靡くことしかその身は知らず、 泣く声も、ざわめきに掻き消える。 あるときその木は、 火に燃えた。 雨が降り、雷鳴轟き、 木に打ち付ける。 生きた身と、 震える心が、 泡を作る。 そうして木は昇っていく。 望みを抱えたままに、 そしていつしか、 その木は形をとった。
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