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愛美は自分からしてしまった恥ずかしさに瞳を逸らし、顔を俯かせながらザイードに囁いた。
「──…待ってる…っ…ちゃんと待ってるから……早く迎えにきて……っ」
「……っ…」
ザイードの掴んでいた手をゆっくりとほどいていくと愛美は自らザイードに背を向けて輸送機に乗り込んだ。
機体の上についたプロペラがぐるぐると回り始め、愛美の乗った輸送機の入口が閉まり始めた。
巻き起こる風に煽られてザイードの白装束がはためく──
高さを増していくその機体をザイードは下からずっと見上げていた。
小さな窓に張り付くようにして覗く愛美が微かに望める──
泣いている──
確かにマナミが泣いている──
直ぐに行く──
お前が待っていてくれるなら……
俺は必ず迎えに行く──
マナミ──
次に逢うときはお前はもう二度と俺の腕の中以外では眠らせない──
次に逢った時はマナミ……
お前は
イブラヒム=
ザイード・ムスターファの妃だ──
高く小さくなった機体を見つめるザイードの顔つきを見て、ターミルは微かに満足そうな笑みを浮かべていた──。
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